俺の彼女はインベーダー
「結婚相手は政府のコンピューターで選ばれます。子供を産める若い世代の人口が少ないし、今でも減る一方なので、優秀な子供が生まれる組み合わせを遺伝子レベルでコンピューターが探して決定するんです。私の星では、その時に初めて、異性と接触するわけです。ちなみにコンピューターが決定した相手との結婚を拒否する事は許されません」
「なによ、それ!まるで戦前の日本の農村じゃない!」
 と麻耶が、こいつには珍しく本気で他人の事で怒っていた。
 しかし、これは俺も麻耶に同感だ。いくら優秀な子孫を残して彼女の星の人類の衰退を防ぐためとはいえ、これはあまりにも非人間的な人生だ。
 でもって、見も知らぬ他の星を征服するという重大な任務を任せる人間をアミダくじで選ぶとは……どこの星でも年食った権力者ってのはロクな事考えないようだ。これは宇宙共通の真理かもしれない。
「ここまで聞いちゃあ、後には引けないわ」
 麻耶が歌舞伎役者が見栄を切るような大仰な声色で宣言した。
「安心してラミちゃん。あなたの星を救うために、そしてあなたの星の若者がもっと人間らしい暮らしが出来るようにするために、必ずあたしがラミちゃんの地球征服を成功させてあげる!ハヤタ兄さんもついてるわよ、役に立つかはともかく」
 最後が余計だ!それになんとも感動的な宣言だが、それはお前と俺がその地球人でなければ、の話なんだがなぁ……
 ラミエルは箸をそっとテーブルに置き、膝で麻耶の所へにじり寄ってギュッと俺の妹の手をつかんだ。そして麻耶の肩に顔をうずめて涙声で繰り返した。
「麻耶ちゃん……麻耶ちゃん……」
 これも事情を知らない人が見たら感動的な光景なんだろうが、しつこいようだが、俺と麻耶はその地球人なんだけどなぁ……
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