俺の彼女はインベーダー
「ところで君の星は、地球から見てどのあたりにあるんだ?」
「地球からは十四万八千光年離れた、あなた方が大マゼラン星雲と呼んでいる星系の中にあります」
 そう答えたラミエルに俺はすかさずツッコミを入れた。
「ウソだろ、それ。地球から三十五光年ぐらいの距離で受信した電波を解析したらそんな映像があったのか?それとも、そんな実写映画でも見て来たか?」
 ラミエルはビクンと飛び上がって言った。
「ど、どうして分かったんですか?」
「俺の親父のビデオコレクションにそういうのがあった。地球の大気汚染を浄化出来るなんとかクリーナーという機械くれるというならだまされてやってもいいけどな」
 ラミエルは麻耶の背中に隠れながら必死に言い訳を始めた。
「すいません……すいません……たとえ協力者でも現地の知的生命体に自分の星の位置を教えてはいけないと命令されていて……」
「それでも教えろ、と言ったら……どうする?」
 別に知りたくはなかったのだが、ラミエルの怯えぶりが面白かったので俺はあえてたたみかけてみた。するとラミエルは突然立ち上がり、腰を少し後ろに引いて顔を上目づかいで俺の方に向け、片目を閉じて右の人差し指を唇に縦に当ててこう言った。
「禁則事項です」
 いや、それは宇宙人じゃなくて未来人が言うセリフだろ。君はいつから時間監視員(大人バージョン)になった?
 それを半ば呆れて聞いていた麻耶が突然わめいた。
「ラミちゃん!あなたのそのUFO,どの程度遠くまで行けるの?」
「え?あ、はい、地球を最低でも二千三百六十一回は周回出来ますが……母星に帰るエネルギーを残しても」
「兄さん、パソコン貸して!」
 麻耶は奪い取るように俺のパソコンを受け取ると、インターネットにつないで何か検索し始めた。そして数分後ラミエルにこう告げた。
「ラミちゃん!ここまで三人で飛べる?」
 麻耶が俺たちにパソコンのスクリーンを向けて言う。そこにはこういう数字が表示されていた。
 北緯30度43分、東経128度04分……
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