俺の彼女はインベーダー
 さて神保町に着いてなるべく古い本が置いてありそうな店を回り、店主のおじさん達に訊いて回って、やっとそれらしき本を3冊見つけた。相当マニアックな本らしく、日本中で何軒の本屋にあるかどうか、という代物だそうだ。
 どれも煤けて少し黄ばんでいて、いかにも古本という感じだったが、値段を聞いて俺は目を回しそうになった。なんと3冊合計で一万三千円!それだけ希少価値のある本だと古本屋のおやじは得意そうに言っていたが、世の中には物好きがいるもんだ。
 背中と鼻で荷台のラミエルのあの感触を楽しみながら、俺はえっちらおっちら自転車をこいで自分のアパートへ戻った。さっそく今日の収穫である本を開いてラミエルと手分けして読んでみた。
 ちなみに彼女は地球へ派遣されるにあたり、地球上の大抵の言語を話す、読む、書く、全て習得してきている。なんでも直接脳に知識をインプットする機械があるそうで、うらやましい限りだ。そんな物があれば俺も受験の英語に苦労しなくて済むのだが。
 明け方近くまでかかって全て読み終えて、俺は戦艦大和のすごさに初めて気がついた。それまでは何となく昔のすごい軍艦という程度の認識しか持っていなかった。
 まず戦艦としては歴史上、現在においても最大の大きさという事だ。アメリカ海軍の航空母艦なら今ではもっと大きな奴が何隻もあるが、大砲を積んだ形態の「戦艦」という分類上では今でも大和を越える大きさの物はない。同型艦として作られた戦艦武蔵が同じ大きさだったぐらいだ。
 そんな馬鹿でかい鉄の塊がよく水に浮いたもんだと思うが、ヤマトの艦首の下の水中にある部分は丸く出っ張った形になっていて、これで浮力を増すと同時にスピードを上げる事が出来たらしい。最大速力は27.46ノット。当時最も速いタイプの駆逐艦という小型軍艦が35ノットぐらいだというから、サイズを考えるとすごいスピードが出せたのだ。
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