俺の彼女はインベーダー
 その意味では地球より理想的な星だ。だがその結果、資源を使い果たし彼女のような若者を他の星の侵略、征服のために送り出さねばならない状況に陥っている。一体どっちが幸せな世界なんだろう?
 ガラにもなくそんな事を考えながら、それでも胃袋の中の本能には逆らえずボリューム満点のチキンカツ定食を残さず平らげて、俺はラミエルを自転車の荷台に乗せて自分のアパートへ帰った。
 電車代も惜しいので上野まで自転車で来たのだ。いやラミエルを自転車の後ろに乗せて、背中にあたる何かの感触を楽しむためではない。そこんとこ、誤解しないように!
 アパートにたどり着くと麻耶がドアの前で体育座りの格好で待っていた。今日は衣替えの後なので紺色のセーラー服姿だ。待たされたのが不満だったらしく、さっそく噛みついてきた。
「もう!遅い!いつまで待たせるのよ。こんなとこに一人でいて変な奴に襲われたらどうしてくれんの?」
「おお、そりゃ悪かった」
 俺は素直に謝ってこう続けた。
「襲う奴が気の毒な事になるよな。痴漢だって相手を選ぶ権利はある」
「どういう意味だ!」
 ラミエルがまあまあととりなしてくれたので、とりあえず部屋に入った。いつものように畳の上に三人で輪になって座ると、ラミエルがさっきの「table for two」の話を麻耶に始めた。
「ああ、その話なら、なんか聞いた事はある。大企業の社員食堂なんかでもやっているみたいね」
 ううむ、さすが麻耶。よく知ってるな、そんな事。俺なんか今日初めて知ったのに。
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