俺の彼女はインベーダー
 やっとその地下特別ルームにたどり着きドアを開ける。俺はさっきからの疑問を麻耶にぶつけた。
「なんでわざわざ、こんな馬鹿高い部屋選ぶんだ?隠れるだけなら、もっと安い部屋がいっぱい空いてたぞ」
「ここは使う目的が目的だから……」
 と言いながら麻耶が部屋のドアを閉じる。微かにプシュっと音がしてドアが完全に閉まると、耳が痛くなるような静寂が部屋を覆った。さっきまで微かに聞こえていた街のざわめきや車の音も全く聞こえない。麻耶がさっきの続きを口にする。
「ほらね、防音がすごいのよ、どの部屋も。特にこの部屋は地下だから電波も遮断されるみたい……ええと……」
 麻耶はポーチから自分の携帯を取り出して広げ画面を覗き込む。
「あ、やっぱりだ。圏外になってる」
 俺も自分の携帯を取り出して見てみる。俺の携帯は東京都内では電波が届きやすい事で有名な会社の物だ。これも見事に圏外表示になっている。
 と気付いたらラミエルが珍しそうに壁に掛っている怪しげな道具やら天井から垂れさがっている鎖やらを手で触り始めたので、俺はあわてて追いかけ回して止めた。
「これならだれかに電波発信機がつけられていても、表の連中には電波は届かないわ」
「なるほど……」
 と俺は納得して、そしてもう一度……
「だから!なんで女子高生のおまえがそんな事を知っている?それもそんなに詳しく!」
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