俺の彼女はインベーダー
第7章 それでもやっぱり、故郷は地球
 月日の経つのは早いもので、ラミエルが突然いなくなってしまったあの日から冬が過ぎ、早春の三月中旬になった。その日俺は受験した大学の合格発表を見に行った。横には麻耶がくっついて来ている。
 別に来なくていいと言ったのだが、俺だけじゃ頼りないし、帰り道で世をはかなんだりしたら困るから、と言って無理やりついてきたのだ。しかし、これから合格発表を見に行く人間に何ちゅう事を言うんだ、こいつは。俺が世をはかなむとは、一体どういう意味だ、まったく・・・
 さすがに大学の構内にまで妹に付き添われて入るのは恥ずかしいので、麻耶を校門の前に待たせて、俺は一人で合格者の受験番号が張り出されているボードのところへ行った。俺が麻耶のところへ戻ると、ちょうど何人目かの男が麻耶にナンパしかけて玉砕したところだったらしい。
「ごめんね、あたし連れがいるの」
 麻耶はその男にそう言うと俺のそばに駆け寄って来た。
「で、どうだったの?二浪決定?」
 俺は黙って手に持っていた茶封筒を麻耶の目の前にぶら下げた。表にはこう書いてある。
「入学手続きのご案内」
 そう、俺は志望通り、この理系の大学に合格したのだ。超有名でも超一流でもないが、まあまあのレベルの大学だ。
「やったー。兄貴、おめでと!」
 今度ばかりは麻耶も素直に喜んでくれた。
 考えてみれば、ラミエルという宇宙人と共に過ごした間、俺は普通の学生には絶対不可能ないろんな珍しい体験をした。必要に迫られて苦手な英語や社会科の知識も使わされたから自然にいろんな事が頭に入っていたらしい。
 それにラミエルの超科学も、基づいている物理法則などは地球のそれと同じだ。だから自分でも気がつかないうちに、彼女の知識に触れる事が俺の得意の理系の分野の勉強にもなっていたようだ。
 それに命がけの経験を重ねた事で、どうやら俺のたるんでいた脳細胞そのものが活性化されたようだ。以前はどれだけ予備校の授業で聞いても右から左へ抜けていた講義の内容がちゃんと理解出来るようになっていた。
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