鎖乱ーサランー



『食え』


そう言って星野さんは
割り箸を割って自分のざるそばを
食べ始めた。



「星野さん‥」


『‥あ?』


「お腹、空いてますか?」


『‥普通』


「普通ってどのくらい?」


『普通は普通』


「‥‥‥‥‥」


『‥んだよ、
言いたいことあんならちゃんと言え』


せっかく奢ってくれるって
言ってるのに断るなんて
失礼なのはわかってる。


でも‥蕎麦アレルギーだけは
どうにも出来ないんだ。


「‥ごめんなさい。

私、蕎麦アレルギーなんです‥」


最悪だ、私。


『‥ほら』



そう言って差し出された
星野さんの手にはメニューが
持たれていた。



『食えるやつ頼め』


私にメニューを渡すと
私の前にあるざるそばを自分の前に
引き寄せた星野さん。



「‥でも、」

私の分を無理して食べて
お腹でも壊したらどうしよう。


『これくらい余裕だってーの』
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