たとえばの明日に花束を
「あら、天音ちゃん。麗子ちゃん……」
「あ、こんにちは…」
病室の扉が開いて、中から志紀のお母さんが出てきた。
すると志紀のお母さんは顔を曇らせる。
「あの…志紀は……」
「えっ、あ、あぁ。ごめんなさいね。
目は…覚めたことには覚めたわ」
「え!?」
その言葉は希望を持たせるに十分だった。
私は手に持っている花束を握る。
「じゃあっ、今すぐ会え――……」
「でも……ごめんね…。
志紀は…」
お母さんの言葉と遮るように、静かに病室の扉が開いた。