たとえばの明日に花束を
「少しいいかしら、二人とも」



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「記憶……、しょうが…い…?」

「……えぇ。
お医者さんが言うには、いつ戻るか分からないらしいの。頭に強い衝撃を受けて、……それで…」


志紀のお母さんが苦虫を何匹も噛み潰したような顔をした。

その瞳には涙がたまっている。

麗子も呆然と立ち、しきりに「…嘘でしょ」と呟いている。




「嘘だ…。

志紀、また明日なって…言ってた!!ずっと一緒だって小さいときに…」


「天音ちゃん」



志紀のお母さんの顔を見上げた。






「これは現実なの」




その顔は弱弱しく、でも凛々しく一人の母親だった。


でも私は嫌だった。

信じたくなくて心がズタズタに切り裂かれたように痛む。
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