たとえばの明日に花束を




ウィーン

"四階でございます"

アナウンスの声。

それが言い終わる頃エレベーターの扉が開き、急いで病室に向かう。

「…4時半か」

まだ面会時間までだいぶある。うん…今日は話そうかな…?



扉を開けようと、ノックしかけた手を止めてしまった。

ガラスの窓越しに見えた二人。


志紀と……沢渡さん。

その影が重なっていて、頭をフル回転させ状況を理解した。



「キス…してる……?」



頭が鈍器で殴られたように痛み、胸がズキズキと痛みだす。




耐えきれなくなり、私は花束を置いて走って逃げた。
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