たとえばの明日に花束を
-1.タイムリミット-

日常

上杉天音、17歳。

高校二年生で部活は帰宅部、恋人なし。

そんな私。

親友と呼べる子は出来ても恋愛なんか出来ないのだった。



「天音ー」


こいつがいるせいで……!!

そう。佐倉志紀、幼なじみの男子。幼稚園から一緒の腐れ縁。

こいつといるだけで冷やかされ笑われ。

迷惑この上ない、私の迷惑のタネだ。


「何、志紀」

「今日は俺コンクール近いから一緒に帰れねぇ。悪い!」

「……あー、別にいいよ。
麗子たちと帰るし」



志紀は美術部だ。人物画が得意だそうで、今までのコンクールは全て私を描いてきた。




「あっまっねっ!!」

「麗子!」


本城麗子。この子は本城グループの総帥の娘だ。

美人で気立てもいい。

その上、イケメンの彼氏もいるのだ。




「今日一緒にかえろー」

「うん、いいよ」

「やーりぃ!んじゃ、ちょい職員室行ってくる。待ってて!」
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