たとえばの明日に花束を
天音が来た。
その顔を見るだけで俺はドキドキと胸が高鳴ってしまう。
「……あぁ」
「これお花ね。生けておくから」
「……あぁ」
「それじゃあ、私、用事あるから帰るね。ばいばい!!」
天音は花束を生けるとすぐ帰った。
……話したかったな。
天音が出て言って五分後、沢渡が部屋を訪れた。
沢渡が気付いたのは花束だった。
「何これぇ?勿忘草……あぁ、天音ちゃんかぁ」
「どうして分かった?」
「だって勿忘草の花言葉はねぇ。
"真実の愛"とぉ、"私を忘れないで"なんだよー?
だから天音ちゃんかなっ、て」
花言葉だけで俺の胸は躍った。天音がもしかしたら俺を想ってくれている。
なぁ、天音。
そんな期待寄せても――いいよな?