たとえばの明日に花束を
―コンコン……。
長い授業が終わり、急いで走ってきた志紀の病室。
ノックをして数秒で声が聞こえた。
「どうぞ」
志紀の声だ!!
その声だけで嬉しくなり、私はそっと扉を開けて志紀に近づく。
「……あ、確か…。
天音、だっけ」
「そうだよ。あのね、今日は見て欲しいものがあるの」
「見てほしいもの?」
カサ…。
ポケットから手紙を出して、志紀に差し出す。
「志紀が私に渡そうとした手紙だよ」
志紀は無言で文字に目を通した。
「どう?何か思い出したり、しない――……」
ビリビリビリッ!!!
細かくちぎられた手紙が宙を舞い、静かに床に落ちていく。
「志紀……?」
「……胸糞悪い。
言っておくけど、俺はお前のことなんてどうでもいい。思い出すつもりは毛頭ねぇから」
ドクン―
目の前が、真っ暗に染まった。