たとえばの明日に花束を
「……実は…」
私はリントくんに洗いざらい話した。
リントくんは黙って聞いてくれた。
「似てますね」
「え?」
「まるで、昔の僕らみたいです」
「…リントくん、まさか…」
「はい。…僕の彼女だった人も、事故に遭い記憶を失いました」
「……っ!」
リントくんはゆっくりと話し始めた。
「僕はどうしても思い出してほしくてある日病院に行きました。
…すると彼女は、僕の友人と……。」
「キスをしていたんです」
リントくんは哀しい顔だった。
「勿論僕は詰め寄りました。だけど友人は彼女が自分を選んだと言って、結局…僕は負けました」
「負けた……?」
「彼女は記憶を失った"フリ"をしていたんです。私はリントに不似合いだと、友人を選んだんです」
記憶を失った、フリ……?
「親友もそれを知っていたけど、僕を傷つけまいと教えはしませんでした」