親の心
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むか~しむかし……と言いたいところだが、時は現代。
あるところに、すごくお金持ちの家庭がありました。
父の名は宮野彰(アキラ)。37歳。
宮野株式会社の社長。
母の名は宮野貴美(キミ)。36歳。
子供への愛情は深いが、しつけにはこだわりが強く、何に関しても負けず嫌いである。
姉の名は宮野梨乃(リノ)。17歳。
オシャレで、大人ウケを常に意識し、自意識過剰な性格。
そしてこの物語の主人公。
妹の名は宮野愛(アイ)。15歳。
温厚な性格で気が小さく、頭がいい。
そんな4人家族が住む豪邸が、町の中心にドンと建っていました。
小鳥の囀る声。
涼しげな優しい風。
日和のいい日です。
「愛‼はやく紅茶持って来なさいよぉ‼」
「はいっおまたせしました、お母様。」
「愛‼あたしジュース‼パパはコーヒーよね♪」
「ん?あ、あぁ…」
「はい」
そんな日に、パタパタとせわしない足音をたてて働く1人の女の子がいました。
女の子はこの家の娘。
まるでお手伝いさんの様に働かされる彼女は、自分とは違い、とても可愛がられる姉の梨乃がうらやましくて仕方がありませんでした。
しかし、気の小さい彼女は、両親の言う事に従うしかありませんでした。
「愛~‼はやくぅ~‼」
「はいっ、ただいま‼」
またパタパタと姉のもとへ駆け寄る。
「ど、どうぞ‼」
「ありがとっ。はいパパ♪」
「おっありがとう、梨乃」
≪私が入れたのに‼私が…≫
そんな思いが、愛の心を絞めつけました。