3つのKiss
「ほら、懐かしの神社~」


「本当だ…」


そして俺が来たのはココ。
俺と紗弓の関係が始まった場所。


「子猫ちゃん…懐かしいね」


「だよな」


結局あの子猫は
俺達で飼ってくれる人を学校で探した。


そして飼ってくれる人が見つかって
今はもう、この神社にはいない。


「でも、どうして今日ココに来たの?」


「さぁ?何でだろ?」


「さ、さぁって…」


ニッと笑って俺は答えた。
そして一度、近くにあった古びたベンチに座ると


「ほら」


「?」


小さい箱を紗弓に差し出した。


紗弓は不思議顔。


「なぁに?コレ…」


「開けてみてよ」


「?」


シュルシュル…と、
周りについている赤いリボンをほどく。


そして箱を開けて
出てきたものは、


「!これって…」


「ちゃんと、ココにつけろよ?」


俺はそう言って、紗弓の左手を握って
薬指を指差した。


俺が入れていたのは
シルバーリング。


俺が現地集合にした理由は
これを買いに行く為だった。


紗弓は、固まっている。


「…予約ね、よ・や・く」


「十雅…これって、誕生日プレゼント?」


紗弓が少しぎこちなく
俺に問う。


「ん~…それもあるかな?」


「?それもって…」






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