3つのKiss
「じゃあ聞いたのね…私がもう長くないって」


「っつ…」

一番、考えたくなかった。
そんなの嘘だって。

嘘ってだれか…誰でもいいから言ってよ。


「自分でもわかるんだ…私、そろそろ」


「んな事言うな!紗弓が死ぬわけないだろ?!」


「…」


お願いだから、そんな事言わないで。
少しで良いから、希望を持たせて。


「はぁ、はぁ…十雅と別れた理由…はね、」


「ん…」


「私が死んじゃったら私たちの関係はそこまで。

だから…そんな事なら、別れて十雅には他に…」


「…」


…どーゆー意味だよ、ソレ。
俺には幸せになってほしいって?


「ばっかじゃないの?」


「ぇ…?」


「お前が居ない幸せなんか、本当の幸せなんかじゃねぇよ」


俺の未来は、紗弓と一緒に見たいんだ。
紗弓がいない未来なんて、興味ない。


「私よりも可愛い女の子じゃないと、許さないんだからね…?」


「まだ言うか…」


「だって、もう十雅とは話せないかもしれないんだもん…」


だから今のうちに喋っておきたいんだv
そう言って苦しそうに笑う紗弓。


「…紗弓、私はちょっと出てくるわね」


「うん。っゴホッ、ケホケホ…」


「大丈夫?!」


「ぅ、ん…平気」


そんなやり取りをすると、
紗弓のお母さんは病室を出て行った。


「…ねぇ、私のお願い…聞いてくれる?」


「うん?別れるって事以外ならいいぜ?」


布団から俺を上目遣いで見る。

やっぱ熱があるから、すごく色っぽく見える。
これが前の紗弓だったら俺、襲ってるかもな…。

そんな事を思って、心の中で苦笑。


「で、何?」


「…キス、して…?」


「!」






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