3つのKiss
い、今…紗弓は何て言った?
キスして?え?


俺は少し混乱。
だって、紗弓から誘われた事なんかなかったから…
(初めてシた時も俺から襲ったし)


でも、


「ん…」


悪い気は、しない。


優しくキスを紗弓に落として
そしてゆっくりと離れた。


「ありがと…」


「ううん」


お礼言われる事なんかしてないのに。
俺も欲、ちょっとあったし。


「十雅、」


「ん?」


「コレ…貰って逝くね」


布団から紗弓は、左手を出した。
そこには、俺がプレゼントした指輪。


「当たり前。持っていってよ」


その時、良く意味を理解していなかったんだ。
だから…


「…?紗弓――っ!!」





また、嵐の日のように
悪い予感がした。


先ほどまでの苦しそうな息遣いが聞こえない。


「紗弓、紗弓!?」


ゆらゆらと身体を揺らす。
が、反応はない。


「目ぇ、開けろよ。ただの演技だろ??」


そうだ。
絶対に。だって、ついさっきまで話してた。

触れた唇から
生きている、温もりが感じられたんだから。


「っ!ナースコール!!」


一度冷静になって、
ナースコールを思い出した。


今ならまだ、間に合うかもしれない。











その後、紗弓は目を再び開く事はなかった。










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