3つのKiss
「十雅くん…」


「何ですか…?」


引きこもり。
俺は家の中でじっとしていた。


すると、紗弓のお母さんが家へたずねてきた。


「これ…紗弓から」


「えっ?!」


紗弓から!?


俺に差し出してあるのは
可愛らしいピンクの手紙。


「あの子の病室の、枕の下にあったのよ」


「…読んだんですか?」


「いいえ?きっと紗弓は、十雅くんだけに呼んで欲しいと思うから…」


「…有り難う御座います」


手紙を受け取ると、ペコリとお辞儀をした。


「…それじゃ」


「はい。お気をつけて…」


そして紗弓のお母さんは帰っていった。

俺は手元の手紙を持って
自分の部屋に向かった。


自分の部屋に入ると、
俺はベットに腰掛ける。


そして、のり付けされていない
封筒を開いた。



『十雅へ

貴方に出会えて嬉しかったよ。


付き合い始めて、初めて手を繋いで
キスをして…とても愛しく思えた。


初めて一つになれた時は
幸せでいっぱいだったよ?


貴方と過ごした日々を私は
これから先、きっと忘れる事はないから…


貴方の存在が私の中では
それほど大きいものだったんだよ?


私はもう、十雅の隣で笑うことは出来ないから
私の分も幸せになってね?
私は天国で待ってるから。


だからって、すぐに来ないでね。
十雅は私の分も幸せになって。


私は貴方との想い出
心の底にそっとしまい込んだから。


最後に、今までありがとう。
さようなら。愛してたよ。


七瀬 紗弓』






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