3つのKiss
「おーい、紗弓さぁーん」


ペシペシと頭を叩いてみる。
すると、


「あのね、」


「うん?」


紗弓はバッと顔を勢い良く上げると
顔を赤らめて


「私、十雅の事が好き…」


「…へ?」


俺のこと?

へ?

冗談?


「…」


「…~っぷ。あははっっ」


「なっ…」


やばい。
笑える。


「何で笑うのよ~っ」


「だ、だぁって紗弓、顔真っ赤…くくく…」


「仕方ないじゃない!」


赤い顔で叱られても
まったく怖くありませんよ?紗弓サン。


「俺も好き」


「…あっそぉ。…え?」


紗弓は大きな瞳をパチクリとしている。
あー、可愛い。


「嘘!」


「な、なんで嘘つかなきゃいけねェんだよ」


「だって、私は馬鹿だし可愛くもないし病弱だし…」


「可愛いジャン」


「…目、悪いでしょ」


ジーッと横目で睨まれる。

俺、正直な気持ちを言ったんですけど…


「それに、紗弓は優しいじゃん。今時珍しいよ」


「そーゆー性格だもん」


「だからそれが、紗弓の長所なんだよっ!」


「ゔ…」


つーか、お前が告白してきたんだろ。
そう言って紗弓の額にデコピン。


「イタっ」


「素直に現実を受け止めなサイ」


ちょっと涙目で俺の事を見る。
そんな目で見るな。
襲いたくなるだろーが。

…なんてな。



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