3つのKiss
俺達が付き合い始めてから
変わったことと言えば…


相手を意識し始めた事。
一緒に居る時間を長くしたこと。


今思い返せば、コイツと出会えたこと
それすら運命に感じる。


「ねぇ、次の土曜って暇?」


身を乗り出して、紗弓に問う。


「土曜?…ないよ?」


紗弓はカレンダーをチラッと見ると
そう答えた。


「じゃ、どっか出かけない?久々デートv」


「うん。良いよ♪」


にこっと微笑む。


この笑顔だけは、昔から変わらず
暖かい、やわらかな笑顔。


好きになり始めた頃は
ヤキモチばっかしてたっけ。


他の男子と楽しそうに話してたり、
ただ、近くにいただけで。
たまに女の子とかにも少々…

まぁ、今もヤキモチはやいてるけど。
とうとうヌイグルミまでヤキモチやいたし。


でも、俺はもうわかってるから。

紗弓は俺の事を大切に思ってくれてるって。
そりゃ俺もだけどさ?


「はっくし!…」


「あ、大丈夫?」


「うん…でも、ちょっと寒い」


そんな時、紗弓がくしゃみをした。
夜は流石に寒い…かな。


「ちょっと長くいすぎたね。俺帰るよ」


「窓から?」


「当たり前」


俺がベランダに出ると
紗弓は心配そうな顔をして


「落ちないでね?もしも落ちちゃって死んじゃったら…」


「ばーか。落ちねぇよ。それに…」


部屋の中に戻って、くしゃっと紗弓の頭を撫でた。


「お前を残して逝くわけねぇっつの」


そう言って、頬にキスをした。


「じゃ、おやすみ。俺の夢見ろよ~」


「えー」


「“えー”ってなんだよ」


「あはは、冗談だって♪おやすみ~」


そう言って、俺は紗弓の部屋を出て行った。






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