3つのKiss
土曜日。
俺達は現地集合をした。


理由は…
まぁ、後ほど。


「あ、コッチコッチ!」


「十雅!ゴメン、遅れちゃって…」


俺の前で両手を合わせる紗弓。
肩で息をしているから、走ってきてくれたんだろうな…

病弱なくせに。腹痛くなんぞ?


「でも待ち合わせ時間3分前だぜ?」


「でもでも、待ったでしょ?」


「…俺、5分前についた」


普通ここで「俺も今来たところだよ」とか
言うんだろうケド、俺は5分前ですから。


「…あははっ、十雅らし~」


「それ、褒めてんの?」


「さぁ?」


クスクスと笑っている紗弓。
…ま、いっか。


「何処行くの?」


「んー…映画にでもしよっか?」


「うん。分かった」


手を繋いで、俺達は近くの映画館に向かった。


「何見る~?」


「んー…何でも大丈夫だよ?私は…」


「俺も同じく…」


二人で考え込む。
俺達って映画はそこまで好きじゃないしね。


「…デートだし、ラブに挑戦してみる?」


「私、映画のラブストーリーって初めてかも…」


「俺も」


殆どファンタジー系だから。
たまにヲタクの友達に付き合ってアニメとか。


「じゃあ決定ね」


「うん。券買ってくるな」


そう言って俺はタタタッと受付まで駆けて行った。


「…っ、ケホケホ…」


少し顔を赤らめて
席をしている紗弓なんかには気付かずに。






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