星の船 ー淡い月の鍵ー
無くしたモノ
大切な物は、碧い手帖に入れておいた。
はじめて買った月面地図。
幼い頃乗った宇宙船〝イリス〟の切符。
そして、
楽しみにしていた月都市〝ティコ〟への旅券ー
なのに、
ないっ!?
ないない…ないっ!
「ない!!」
私は、碧い手帖を広げ、涙声で叫んだ。
「〝ティコ〟への旅券がないよーー!!」
駅の待合室で持って来た大きな碧色のトロリー鞄も全部広げ、愕然と青くなる。
「な、なんでぇ…朝家出た時は、ちゃんとあったのに〜」
ぐず、ずび…
泣きじゃくると、漆黒の眼が涙で溢れ、黒く長い髪も涙に触れた。
「泣かないで、流羽(ルウ)。な?」
月輪色の髪に碧い眼をした青年が座り込み、泣きじゃくる私に向かい合い、涙を指で拭う。
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