星の船 ー淡い月の鍵ー
知らないヒト

 ♢

「ーつまり、気になる男と同じ列車に乗りたかった、と?」

「うん!!」

それに寝台列車にも興味があったし、
と、続けた流羽の言葉は柊には届かず、


柊は、
男…男…、ね…。
と口元を掌でおさえ、呟く。



そんな柊の様子に気付く事なく、
流羽は弾む心を抑えられなかった。

「それでね、その男の人って真っ黒いスーツに冷たい色の眼鏡掛けてて、まぁ、かっこいいカンジの人ではあったけど、とにかく黒いんだよ、真っ黒。
あ、大丈夫!あの男もこの寝台列車に乗ったの確認済みだから!」

流羽はポンポンと歩廊で見かけた男の様子を話す。



「ーえ?黒いスーツに、冷たい色の眼鏡…?」

ふと、柊が鋭く目線を上げた。







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