星の船 ー淡い月の鍵ー
流羽の耳元で、風が鳴る音が聞こえた。
ガッ!
「流羽っ!」
柊が振り返ると、大柄な男が流羽を捕らえていた。
(誰!?あの黒い男!?)
訳が分からず、歩廊の男を思い浮かべた。
流羽の首を捕らえる枯草(カーキ)色の袖。
(ー枯草色!?違う!あの男じゃないっ…)
「流羽!おい、その子を離せっ」
柊が叫び、駆け寄ろうとすると、
「それ以上近づくなっ、この娘の命が惜しかったら、〝キィ〟をよこすんだ」
〝キィ〟の言葉に、柊の表情が更に鋭くなる。
(〝キィ〟?……何の…こと?)
聞き慣れない言葉に、流羽は柊を見る。
息苦しくて、分からないことばかりで、
流羽はパニック寸前だった。