星の船 ー淡い月の鍵ー
(しゅ、柊…く、ん…)
「…渡せば、流羽を無事に離すんだな!?」
柊は〝キィ〟を知っているようだった。
その〝キィ〟をめぐって、この状況になっているのだと、
流羽は気付く。
「ああ、早くしろ!」
苛立たしげに、男は吐き捨てる。
柊は縹色の背負い鞄の中に手を伸ばす。
コツ
その時、流羽の近くで小さな音が聞こえた。
見ると、
流羽を捕らえていない方の男の片手には、鈍く光る銃がーー。
「だめっ、柊くん!渡しちゃッ!!この人ッ銃持ってるよ!!」
思わず、叫ぶ。
流羽の言葉に
ハッ、となる柊。
「このガキ!」
男が流羽に銃を向け、
(撃たれる!!)
流羽は躯を強張らせ、ギュッと眼を閉じ唇を噛み締めた。