星の船 ー淡い月の鍵ー
「受け取れ!」
柊は大きく叫び、
背負い鞄を男めがけ投げつけ体当たりした。
「うっ、ぐっ」
思わぬ柊の反撃に男の体勢が崩れ、男の腕が流羽から離れる。
「逃げろっ!流羽!」
柊の言葉通り、倒れた男のもとから駆け出し、逃げる。
だが、馴染みの気配が近くに感じられず、
流羽は振り返った。
「柊くん!!」
共に逃げ出したと思った柊が、
男のすぐ近くで片膝をつき、蹲っていた。
「う、ぐっ…げほ、ごほっ」
咳き込み、柊の表情は苦痛に歪んでいた。
男にやられたかと思ったが、
男は倒れた拍子に頭を打ったらしく、唸りながら頭を振っていた。
「柊くん!?どうしたの?ねぇ!?」