星の船 ー淡い月の鍵ー
すると、

ポン、
黒い男が、流羽に小さな硝子瓶を投げ渡す。

(ーえ?何!?)

見ると、青い色の錠剤がたくさん入っていた。


「…彼は、〝月人ーセレネー〟の発作を起こしている様だ。その薬を飲ませてやれ」

(〝月人〟の発作?)

 初めて聞く、その言葉。

「この…薬を飲めば、柊くんは治るの!?」

グッタリした柊を抱え、流羽は黒い男に尋ねる。


「それに、さっきの男は!?〝キィ〟を寄越せって、柊くんに言ってて…〝キィ〟て一体…」

次々と沸き上がる疑問。
流羽は思いつくまま、目の前の知らない男に尋ねた。

この男なら疑問を解き明かしてくれる、

そんな予感。 


黒い男は、しばらく黙り込んでいた。が、


「〝月人〟の発作はその薬では治らない。一時的に抑えるだけだ。
…さっきの奴の事は、気にするな、忘れろ。
〝キィ〟の事もな」

淡々と、答える。


「忘れろって、」

(そんなの無理に決まってるっ…あんなに怖い思いをしたのだからーー)

< 23 / 38 >

この作品をシェア

pagetop