星の船 ー淡い月の鍵ー
♢
夢現つ、そんな感じだ。
安心してよく眠れると、そう思ったのに。
流羽は向かいの寝台で眠る柊が、気になって仕方がなかった。
それは、昼間の騒ぎのせいなのか、
それとも、
月を眺める柊の横顔に高鳴った鼓動のせいなのか、
よく分からず…
だから、
柊が優しく流羽の髪を撫ででくれる感触、それは夢だろうと想った。
優しく、愛しい、夢なのだと。
♢
寝台に腰掛け、流羽の髪を撫でる柊の姿が、
月とともに車窓に映る。
「朝が、来なければいいのに」
小さく呟く柊の声は、
流羽には、
届かない…。