星の船 ー淡い月の鍵ー
「馴染みが無いのは当然だ。時間管理局は政府の裏組織だからな」

(政府?裏組織?)

突然、遠く、遠くに来てしまった様な気がした。
もう戻る事が出来ない。

そんな場所に。



「…地球軌道上に、特殊な事情を持つ者のみ、通る事が許されている航時機-ゲート-がある。
時を越える、未來への航時機-ゲート-だ」


(え…?)


《ねぇ、ねぇ。あの噂は本当なのかな!?
地球軌道上に、未來へ行ける航時機-ゲート-があるって》


憶い出す、倶楽部での噂。

「うそ…、あの噂が、本当って事!?」

自分に問う様に、流羽の声が段々と大きくなる。

「その噂と、柊くんがどう関係があるの?」

「我々は、月で生を受けた者を〝月人〟と呼んでいる。
君も知っての通り、柊がそうだ」


流羽は、眠る柊に視線を移し、眼を細める。

「最近の調査で、〝月人〟は地球に適合しづらいと判明した。
病弱で短命、〝月人〟の発作はその影響だ」


相模は流羽から目線をそらし、柊を見る。



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