星の船 ー淡い月の鍵ー
「そのために、流羽を泣かせ、相模さんには無理を言った。
ゲート切符の〝キィ〟を狙う連中もいるから警護して欲しいと…。
でもまさか、流羽が相模さんに興味を持って、反対に追いかける事になるとは思わなかったな」


ははは、と柊は力なく笑った。

流羽は溢れる涙を止める事が出来なくて、

柊の声も表情も、
憶えておきたいのに、

離したくないのに、


震えるばかりで、動けない…。



「ごめんな、流羽。泣かせてばかりで」

いつもの様に、柊は掌で流羽の涙を優しく拭う。


「俺、先に行くよ。ーー5年後で待ってる」



柊は流羽の腕を取り、優しく抱きしめた。



柊の声が、
匂いが、

とても近くて、



流羽はまた、涙が溢れた。




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