星の船 ー淡い月の鍵ー
優しい温もりと言葉を残し、
柊は旅立った。
流羽は全部憶えておこうと、
涙を堪え見送った。
心も、声も、とても痛かったけれどーー
「…柊が言っていた。5年後、流羽に好きな男がいたら、兄役として応援するのは辛い、と」
見送った後、
動けずにいる流羽の隣に来て、相模は淡々と話す。
その言葉に、流羽は堪えていたものが零れる。
「今日も、流羽をしっかり家まで送り届ける様に頼まれた。兄役の柊の代わりに」
(兄…)
流羽は、いつもと違う感情に気付いた。