星の船 ー淡い月の鍵ー

「あれ?でも、7年前の月面事故で、確か現在月都市は再建中のハズ」

「それがっ、今年の秋から〝ティコ〟だけは短期滞在出来る様になるんです!」
仕入れたばかりの情報に感情が高ぶり、流羽は身を乗り出した。


「月、か…」
高等科3年の柊が、懐かしそうに、微笑む。
流羽は、そんな柊の様子に笑顔になった。

「故郷だもんね、柊くんの」
「ああ」

だからどうしても、行くなら『月』だと、思った。


『月』で生まれた柊。

だが、7年前に行政機関が起こした月面開発中の事故で、
移住計画は始まりに戻ってしまった。

そのため、事故を機に柊は家族と地球に、流羽と同じ集合住宅(コラム)に越して来た。
以来、柊は兄の様な存在だった。


だから、





< 5 / 38 >

この作品をシェア

pagetop