星の船 ー淡い月の鍵ー
「…柊くんが、『月』に行ければ、それで…」
言葉にして、流羽はまた涙が溢れる。
「…二人で、どこか別の所に行こうか」
(ーへ?)
「な、何言ってるの!?柊くん?」
「だから、俺と二人で、別な所に倶楽部旅行にいこう、って言ってるんだよ」
「だ、だだだって、『月』だよ!?
柊くん楽しみにしてたじゃない!あっ!私なら大丈夫だからっ!
ごめんっ、大丈夫だから!!」
慌てて、流羽は笑顔をつくる。
「流羽だって楽しみにしてたろ?じゃあ、流羽が代わりに行く?」
柊は自分の旅券を流羽に差し出した。