星の船 ー淡い月の鍵ー
さっきまで、行きたくて涙溢れていた流羽だが、柊の言葉に首を振る。
「やだよ…、柊くんが行かないなら、私一人で行っても意味がない」
「俺もそう、流羽と一緒じゃなきゃ、意味がない」
微笑み、優しく確かな口調で云う。
柊の言葉に、流羽はキョトンとした。
「私は『月』が故郷じゃないよ?別に懐かしくないし」
「…いや、そう云う意味じゃないんだけど」
ガク、と柊は拍子抜け。
「ーとにかく、いくら俺の故郷でも流羽と一緒じゃないと俺はつまらない」
ぽんぽん、
と流羽の頭撫で、柊は〝ティコ〟の旅券をひらひらさせた。
「俺は旅券換金して、俺達の新しい旅費を調達してくる。
ーああ、あと、倶楽部長に連絡してくるから、流羽は旅行先決めておいて」
柊は〝ティコ〟の旅券を持って、さっさと駅の待合室を出た。