星の船 ー淡い月の鍵ー

「あっ、ちょっ、柊くん!?」

流羽が止める間もなく、柊の後ろ姿は人波に消えた。
流羽は呆然と、碧色のトローリ鞄と共に立ち尽くす。

(…い、いいのかな!?私のせいで、柊くん巻き込んじゃった…)

流羽の頭は真っ白だったが、
(そうだ、行き先、…どこか決めないと…)

巧く回らない頭で、何とか考える。
流羽はコロコロと碧色のトローリ鞄をころがし、駅構内の大きな路線図を見上げた。



(えーと…行き先行き先…どこが良いのかな?私の手持ちじゃ大気圏越えは無理だし…)

うーん、えーと、と唸りながら色々考えていると、流羽は気付く、



自分の視界の端に、一人の男。







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