合縁奇縁
朝生は周りのクスクスと笑う声を聞いて、赤面する。

それから、慌てて教科書を捲った。


「えーと…“平安時代に最も忌むべき帝。

その帝の父は、町の娘と不義をおかした。
そして出来たのが最も忌むべき帝である。

その帝、幼少のみぎりは才知に溢れ眉目秀麗。
品位公正であった。

しかし、帝が13歳になった時、町は飢饉により燦々たるさまになる。

そんな中、帝は何の政策もせずに あろうことか民を見捨て、毒を煽り自害。

その後、町に平和を取り戻したのが 今の天皇に繋がる血筋である。

民が苦しみ、生きたいと渇望していた時に命を散らした忌むべき帝

―――その名は”」



そこで、朝生は息をのんだ。
そこにあった名は

“隠岐 冬哉”


家に居候している、幽霊の名である。


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