合縁奇縁
その瞬間。

「ひ…つッ!?」

妙な不快感が体を駆け抜けた。
それと同時に、朝生はギュッと目を瞑る。

無意識の反応だった。
まるで自身を守るかのように、朝生は自分で自分を抱きしめる。


そして、次に目を開けた時には。

「…う、そ…」

そこは、見慣れた朝生の家ではなかった。
別の場所。…いや、別の空間だ。

「ここ…っ」


周りは、違う色の絵の具をぐちゃぐちゃとかきまでたかのような、不思議な色合いをしていて。

しかも、そこに朝生は浮いていた。

いや、もしかしたら地面に足がついているのかもしれないが 感覚がない。

それ以前に、前後や上下の区別が ひどく曖昧だった。


そして、そんなひどく混乱している朝生に 冬哉は

「時の狭間だ。
…普通の人間が迷い込むことのない、時空のズレが生んだ空間。
お前には、これから平安時代にいってもらう」

更なる混乱を巻き起こした。

< 17 / 18 >

この作品をシェア

pagetop