合縁奇縁
学校を出てから5分。

未だ雨はやむ気配も見せず、むしろ激しくなっていた。

この5分で 雨を含んでズッシリと重くなった学生服をもて余しながら、朝生はまたため息をつく。


こんな雨の中だから当然かもしれないが、人通りは全くない。

いつもの明るい通りが何が別の道のような気がして、気味が悪かった。


「早く帰ろ…」

朝生は更に足を速めて、家路を急ぐ。


そして、近道である裏道に足を向けた。

この道を通れば、いつもの道よりも3分は早く家に着くのだ。


いつもは、人通りも少なく危ないので使っていないのだが 今日はどこも同じだ。

問題無いだろうと、朝生は勝手に理由付けて 裏道を歩いていく。
< 3 / 18 >

この作品をシェア

pagetop