炭坑の子供たち(2)
 トンボやコーリン、三菱と言った、メーカーものならいいが

押し売りが、社宅に売りに来たり

炭坑の仕事場に、怪しい人物が売りに来たモノなどは

値段は、半値以下だったが

削っても、削っても、芯がポキンポキンと、小まめに折れて

全く、使いモノにならなかった。

誰もが、切れ味鋭いナイフ、肥後の守を持っていて

それで、鉛筆を削っていたが

失敗して、手を切る者もいたので、危ないとかで

やがて主流は、四角くて薄っぺらい、鉛筆削り専用のナイフとなり

あげくには、差し込んで回せば削れる、小さな鉛筆削りへと、変貌していった。

鉛筆削りも買えない貧乏人の為に

教壇の角に、大きな鉛筆削りが、据え付けられていたが

面白がって、鉛筆を、一気に短くしてしまう者が続出した。

鉛筆の色が薄い時には、芯をなめて色を濃くし

字を間違えた時には、消しゴムがなくても、ツバで消していた。



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