炭坑の子供たち(2)
 夏休みの間、海水浴に行けない子供達が

午前中の共同浴場に、ぞくぞくと集まって来る。

昼前の湯船には、6分目位水が張ってあり

午後になると

沸かした熱湯が、頭上の鉄管を通ってやって来て

丁度いい、お湯加減になるのである。

そこで、子供達は

チンチンのお湯が、やって来る前の午前中に

水を全開にして、たちまち湯船を、あふれんばかりの、水風呂にしてしまう。

にわかプールの、出来上がりである。

この風呂場に入るには

大きな南京錠が、表の戸にかかっているので

ガラスが斜めに割れて、そのままになっている、裏の窓から

1人ひとり、怪我をしない様に入って行く。

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