炭坑の子供たち(2)
 勿論、耳栓なんかないので

つばで耳に栓をして、頭から湯船に飛び込むが、

それでも、耳の中に水が入ってしまうと

頭を傾けて、トントンと片足で跳ねて

耳の中の水を出してしまう。

その内、何人かが

下駄箱の前に置いてある、幅1メートル、長さ1・5メートル程のすのこを

「わっしょい、わっしょい」

と、運んで来て

それを、湯船に浮かべて乗り込み

イカダ乗りの気分を味わう。

みんなは、夢中ではしゃぎ回り

ぼちぼち遊び疲れたので

「みんな、帰ろうか」

と、湯船から上がり、脱衣場に来てみると

みんなの服が、1枚残らず消えている。







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