炭坑の子供たち(2)
 一年坊主が、戻って来て言うには

「しゃっち(どうしても)みんなで来て謝らんと、返さん言うとる」

仕方ないので

全員が、フルチンで、労務まで突っ走る。

風呂場から労務まで、100メートル程あり

風呂の直ぐそばには、雑貨屋を兼ねる八百屋があり

おまけに、労務の正面には

大勢の買い物客で賑わう、購買と呼ばれる大きな店があり

フルチンの一団は、しっかりと、買い物の主婦達と、同級生の女の子に見られてしまう。

それでも懲りずに、毎日、午前の風呂場にやって来る。

風呂場が高台にあるので

労務からの一本道が見渡せ

交代で、抜かりなく見張りを、する様になった。

「来よるばい」

その声と共に、素早くパンツだけはいて

服をわしづかみにするや

割れた窓からの、逃走を繰り返した。


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