炭坑の子供たち(2)
 宿題の工作にしても

炭住街の子供達は

馬ふん紙でこしらえた、船や飛行機であったり

かまぼこ板を使った、トーテムポールであったり

ショボい物ばかりであったが

金持ちの子供は、と言えば

明らかクロウト、宮大工にこしらえさせた、と思われる、立派な本棚を持って来ていた。

夏休みが終わって、二学期が始まっても

永遠に出て来ない子がいた。

そして、机の上に、一輪挿しの花瓶が置かれ

殆んどが、水の事故で亡くなった子であった。

その子達に、共通して言えるのは

みんな、泳ぎの得意な子ばかりで

得意だからこそ、海か、川か、池の深いとこに行って

足がつってしまったか、も草に足を取られたのだろう。

だいいち、泳げないカナヅチやペンチの子は

初めから、絶対に深みには近付かない。
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