炭坑の子供たち(2)
時たま、バス旅行があったが

乗り込むバスは、ボンネット型のオンボロバスで

おまけに、ガタガタの土の道だから

とても、乗り心地を楽しむ余裕なんかなかった。

方向指示器は、通称、バナナと呼んでいたもので

曲がり角に来ると、ワイヤーによって

赤いバナナ状のものが、横に直角に出て来た。

大体、近場が多かったが、それでも

乗り物になれてないのが、殆んどだったので

先生と運転手が

「酔いそうにある者は、前の方の席に座んなさい」

「走ってる時は、遠くの山を見ていなさい」

と、言ってても、しっかりと酔うのが何人もいて

クラスで1番可愛い女子も、もの凄い形相で

備え付けのバケツに、ゲーゲーと戻していた。

まだ、自家用車やバイクも少なかったので、信号機も珍しく

大人達は、信号機の事を、シグナルと呼んでいた。
< 25 / 50 >

この作品をシェア

pagetop