炭坑の子供たち(2)
 運動場の周りには、出店が立ち並び、さながら秋祭りである。

昼食の時間になると、子供達は、家族の待つゴザの座って

黒塗りの重箱に入った、豪華なご馳走を頂くが

重箱には、独特の匂いがあって、心地よかった。

でも、その運動会の時の、唯一の楽しみも

ご馳走も食べれない、もっと貧乏な子にとっては、不公平になるとかで

残念ながら、いつも通りの給食になってしまった。

昼食後も、棒倒しなどの、過激な競技が続き

クライマックスは、6年生男子全員による、川中島、別名、騎馬戦である。

「べんせいしゅくしゅく、夜川を渡る……」

と、じいちゃん先生が吟じる中

麦わら帽子でこしらえた、兜をかぶった武田信玄と

白い風呂敷をかぶった上杉謙信を、中心にいただいて、両軍が対峙し

「かかれっ」

の号令と共に、両軍入り乱れての戦いが始まるが

相手の帽子を取ったら勝ち、なんて甘っちょろいものではなく

相手を騎馬から引き落とし、地面に叩き付けなければ、勝ちではなかった。


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