炭坑の子供たち(2)
 この注射の時も、他の予防注射の時も

1本の針で、何人も打っていたので

「変えて直ぐの針は痛いぞ」と言う伝説があり

針を変えて直ぐの注射器を、みんな嫌がっていたが

今にして思えば、その針が1番安全だったのである。

身長や体重を計る時には

みんなパンツ一丁になるので

今まで分からなかった身体的特徴で、アダ名が付けられたりする。

ガリガリに痩せている子は、もやしとか

骨皮筋衛門(ほねかわすじえもん)などと呼ばれ

逆に、太っている子は、野ブタとか

百貫デブ(ひゃっかんでぶ)などと呼ばれた。

又、背中に袈裟がけの傷のある子は、先生に

「吉良上野介」

「辻斬りにあった町人」

などと、呼ばれていたのに、何故か嬉しそうにしていた。



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