炭坑の子供たち(2)
 先生にも、軍隊上がりの荒っぽいのがいて

男子同士が殴り合いの喧嘩をして、鼻血まで出しているのに

別に止めようともせず

「気が済むまで思い切りやれ」

と、じっと成り行きを見守り

どちらもが殴り疲れて、一旦休んでいる頃合いを見計らい

交互に2人の顔を覗き込んで

どちらの目にも、涙が浮かんでいるのを確認すると

「よし、どちらも頑張った、引き分けや」

と、2人を仲直りさせる。

当の2人も、その日はともかく

明くる日には、もうケロリとして仲良くなっていた。

そんな血みどろの戦いを見せられても

ショックを受けて休む、そんなひ弱な子は、女子の中にもいなかった。

又、そんな先生のやり方を、家に帰って報告しても

抗議の訪れる親なんか、1人もいなかった。
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