炭坑の子供たち(2)
 今も昔も、小学生が恋をするのは同じである。

男の子は、好きな子の筆箱に青ガエルを入れたり、やたらとちょっかいを出して

「お前、あいつが好きなんやないか?」

と、友達に聞かれても

「俺は、あいつが1番好かん」

と、全く逆の事を言ったりする。

そのくせ、プロ野球の西鉄ライオンズのファンでないのは

人間ではない様な言われ方をしていた、アンチ巨人ばかりの炭住街にあって

好きな子が巨人ファンだと知ると、隠れ巨人ファンになったりもした。

一方、女子は、ちょっかいこそ出さないものの、好きな男子をわざと無視したり

好意を持った男子に、1番2番とランクを付けていて

何かの拍子、例えば、テストで100点を取ったり

マラソン大会で1位になったり

絵のコンクールで金賞を取ったりすると

ランクが上がったりした。

ところが逆の場合は、ランクが下がるどころか、ランク外に消え去った。
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