炭坑の子供たち(2)
 何より不思議なのは

女子にせよ、男子にせよ

他の異性には、平気で喋れるのに

好きな子になると、何も言えないどころか

廊下ですれ違ったりするだけで

胸がドキドキして、顔が真っ赤になり、耳までほてってしまう。

可愛い子の横になれるかも知れない

と言う、期待に胸ふくらむ席替えは

1学期に1度だけの楽しみであった。

ところが、期待とは裏腹に

クラスで1番臭う女子の隣りになり

みんなの憧れの子は、クラスで1番臭い男の横になった。

欲のない者に、幸運は訪れるのであろう。

何故1番臭い男と言われるかと言うと

半年に1度程ある、おかっぽと呼ばれる炊事の授業の時に

各自がくじ引きで、家から、鍋や釜、包丁などを持ち寄るが

そいつの持って来たまな板が、非常にニンニク臭かったからである。




< 40 / 50 >

この作品をシェア

pagetop